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Part38 9年の軌跡 緊急告知『前4号に揚げる場合のほか、』

Part38 9年の軌跡 緊急告知『前4号に揚げる場合のほか、』
 
9年の軌跡として「公園緑地整備工事(交付金)(仮称)油ヶ淵水辺の学習館建築工事」の出来事を当時現場担当従業員らの記録と裁判所提出済証拠をもとに振り返って掲載しますのでご覧ください。
 
主な登場人物の相関図はこちら
 
Part38 緊急告知『前4号に揚げる場合のほか、』
 
愛知県公共工事請負契約約款第43条第1項第五号前4号に揚げる場合のほか、この契約に違反し、その違反によりこの契約の目的を達成することができないと認められるとき。」に基づき被告愛知県は、本契約を解除(工事請負契約解除通知書)したが、解除そのものが無効であると推測できる理由を解説したいと思う。
 
被告愛知県は、県約款第43条第1項第五号に基づいて解除に踏み切ったが、第43条第1項第五号の規定は、具体的な解除要件を定めた第一号から第四号の規定を除いた、相手方の契約違反を理由に被告愛知県が契約解除できる場合をすべて含めた規定であり、この規定による契約解除を行うに当たっては、「契約違反の具体的内容」と、「その違反によって契約の目的を達することができない」という明確な根拠が必要となる。安易にこの第五号による契約解除を行うと、その不当性を巡って損害賠償請求訴訟を提起されることもあり得るので、契約担当課と協議しながら慎重に判断しなければならないのであるが、被告愛知県は、強引に第五号で解除したので、その不当性を巡って損害賠償請求訴訟を提起される事になったのである。
なお、第五号の契約違反に該当する可能性がある場合を例示すれば、次のアからオまでに
掲げるとおりである。
ア 現場代理人を常駐させないとき又は無断で変更したとき。
イ 安全管理の不備等受注者が適正な施工を行っていないと認められるとき。
ウ 一括下請負を行っていると認められるとき。
エ 資材業者、下請業者等との契約関係が不適正で、対等な関係にないと認められるとき。
オ その他、受注者が建設業法(昭和24年法律第100号)その他の法令等に違反した施工
を行っているとき。
等々である。
 
 第43条 発注者は、請負者が次の各号のいずれかに該当するときは、この契約を解除することができるものとし、このため請負者に損害が生じても、発注者はその責めを負わないものとする。
正当な理由なく、工事に着手すべき期日を過ぎても工事に着手しないとき。
その責めに帰すべき事由により工期内に完成しないとき又は工期経過後相当の期間内に工事を完成する見込みがないと認められるとき。 
第11条第1項に掲げる者を設置しなかったとき。 
第4条第1項の規定により保証を付さなければならない場合において、保証を付さなかったとき。
 
前4号に揚げる場合のほか、この契約に違反し、その違反によりこの契約の目的を達成することができないと認められるとき。
六 省略
 
解説
平成28年7月7日 被告愛知県準備書面(2)より、
被告が甲31(工事請負契約解除通知書)によりなした解除の理由の詳細は、(省略)
要するに、平成28年1月29日時点で発生している施工不良を是正し契約の目的を満たす建物を建築するためには、更に8カ月が必要と考えられ、原告と被告との間で契約上決められた工期完了時期である平成28年3月20日までに完了することが不可能となったため、県約款43条1項第五号に基づく解除をなしたものである。」と主張している。
 
令和5年4月27日 被告愛知県準備書面(34)より、
「(5)このように、被告は、県約款43条1項第五号に基づき、本件請負契約を解除したと主張し、原告による設計図書に従った目的物の完成義務違反に関しては、瑕疵一覧表の主張により具体的に主張・立証し、かかる義務違反により本件工事請負契約の目的が達成できないことについては、再施工以外に設計図書に定められた耐震安全性を満たす建物を完成できないと主張し、瑕疵が本件構造物全体にわたっていることやその瑕疵を是正、すなわち本件構造物を撤去した上で本学習館を設計図書に従って完成させた場合の工期を本鑑定書により立証しているため、被告が本件工事請負契約を有効に解除したことは明らかとなっている。」と主張している。
 
上記の被告愛知県準備書面工事請負契約解除通知書に照らし合わせてみると、
この契約に違反し、とは、(2)の契約に違反する事項(施工不良)
その違反によりこの契約の目的を達成することができないとは、(3)今後必要となる工事(本件構造物を撤去した上で本学習館を完成させた場合の工期)
と、解き明かすべきであろう。
そうすると、
第二号の「その責めに帰すべき事由により工期内に完成しないときと認められるとき。」による解除であろう。
被告愛知県は、県約款第43条第1項第五号に基づいて解除したと主張している、五号では、「前4号に揚げる場合のほか、」と規定している通り、具体的な解除要件を定めた第一号から第四号の規定を除くと言う事であるから、被告愛知県が解除理由とした、(2)の契約に違反する事項(施工不良)が原因で(3)今後必要となる工事(本件構造物を撤去した上で本学習館を完成させた場合の工期)が平成28年3月20日までに完了することが不可能となった事は、「その責めに帰すべき事由」による第二号であり第五号には、該当しない
よって被告愛知県が主張している県約款第43条第1項第五号に基づき本契約を解除した理由は不当であり、解除そのものが無効であると推測できるのだ。
 
注意被告愛知県にとって、第二号の「その責めに帰すべき事由」は、余程都合が悪いようだ、令和5年愛知県公共工事請負契約約款では、「その責めに帰すべき事由」の文言が削除されているのである。
 
それでは、県約款第43条第1項第五号で言う、「契約に違反し」とは何か考えてみよう。
令和5年4月27日 被告愛知県準備書面(34)より、
(2)すなわち、県約款43条1項第5号にさだめる「この契約に違反し、その違反によりこの契約の目的を達成することができないと認められるとき」には、請負人の要素たる義務やその他の付随的債務に違反し、工期内に工事が完成しないと認められる場合、工事が完成しても不完全履行となると認められる場合例えば、工事材料検査義務違反等重ねたため設計図書に定められた強度を持たない工事目的物が完成されると認められる場合などを意味する(解説本乙49)と主張している。
被告愛知県が証拠提出した解説本乙49によると、「契約に違反し」とは、本約款では、請負者に課している付随的債務(上記記ア~オなど)を含む種々の義務に違反することである。
 
それにしても、被告愛知県は、姑息である。解説本乙49を証拠提出する傍ら解説本に記載されていない、「要素たる義務」などという文言を上記の主張に、しれっと、加筆しているのである。このような姑息な真似を公務員にされてはこの先、何を信じればいいのか不安でしかない。
 
俺なりに色んな本を読み最終的に行き着いたのは、
付随的債務要素たる債務」とは何か。それぞれの定義については、様々な見解がある。従前は、当該債務が契約目的の実現に必要不可欠であって、それが履行されなければ契約の目的は達成されないような場合は、その債務は契約の要素たる債務であり、一方当該債務が契約目的の実現に必須のものでなければ、その債務は付随的債務であるという説明がされることもあったようだ。
実際の実務においては、当該契約における特定の債務が要素たる債務であるか付随的債務であるかの区別そのものには重要な意味はないように思われる。現在は、契約上の特定の債務や約款が外見上は付随的なものとされていても、解除できる場合があるということであり、いかなる場合に解除できるかというと、「特定」の債務の不履行によって当該契約を締結した目的を達成しえないものであった場合には、解除できるという考え方が通説であろう。そうした法理が判例によって形成されてきたことが重要なのであり、付随的債務要素たる債務かの区別というよりは、契約目的達成しえない場合というのはどのような場合をいうのかという基準こそが、解除の可否については重要な意味を有しているといえよう。結果として、解除できる場合は、要素たる債務の不履行となり、解除できない場合は、付随的債務の不履行に過ぎないと理解すれば足りる。」である。
さすれば本件において仮に、仮にではあるが、工事請負契約解除通知書が被告愛知県の主張通りであったと仮定した場合に、(2)の契約に違反する事項(施工不良)が原因で(3)今後必要となる工事(本件構造物を撤去した上で本学習館を完成させた場合の工期)が平成28年3月20日までに完了することが不可能となった事が解除できる場合であろう。解除できる場合が、要素たる債務の不履行となるので、第五号の付随的債務の不履行とはならないのである。やはり、被告愛知県の行なった本契約の解除は、第五号には、該当しない被告愛知県の主張した県約款第43条第1項五号に基づき本契約を解除した事は不当であり、本契約の解除そのものが、そもそも無効であると、行き着くのである。
 
 
Part39 『未定』
 
次回は7月8日配信予定です。
 
お楽しみに!
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